マクドナルド博士のUFO研究

第1回 1966年11月22日 ニューヨークシティー UFO事件


 NICAPの「UFO Investigator」1967年版に次のような記事がある。

「ニューヨークシティーの国連本部で1966年11月22日にUFOが目撃されたという 報告が寄せられた。目撃者は、米国新聞発行者協会(ANPA)の従業員少なく とも8人が含まれていた。目撃したのは、よく晴れわたっていたその日の 午後4時20分、750 Third Avenue 11階の事務所からだった。UFOは長方形 のクッション形の物体で…(中略)…南の方角からイーストリバーを越えて 現れ、国連ビル上空に滞空し…(略)、UFOはふらふらしたり急に上下に移 動したりして、まるで荒波にもまれる船のようだった」

 目撃者として名前があがっていたのは、同協会副部長のD. B. McVayと、 同出版課長のW. H. Leickである。私は同協会の事務所に電話をかけ、こ の目撃事例についてLeickと話し、次のことを確認できた。8〜9人が17階 のバルコニーに出て、その物体が国連ビル上空を(国連ビルに近いと判断 した)数分間滞空しているのを目撃したというのである。物体はふらふら して太陽光線をキラキラ反射した後、上昇して東の方角に高速で飛び去っ たという。私はLeickに、目撃者たちがこの事例を公のルートに報告した かどうか質問した。彼の答えによれば、A. A. LaSalleが空軍のニューヨ ーク支局に電話したところ、翌日士官を派遣して聴取すると約束したとい う。しかし、実際には誰も来なかった。Leickはさらに、ニューヨークの ある新聞社にも電話したが、「興味を示さなかった」と付け加えた。この 事例は偶然NICAPに伝わった。調査用の標準質問表がNICAPから送付され、 Leickによれば目撃者全員が回答したとのことである。

考察
「UFOはなぜ都市近郊に現れないのか」といった疑問を抱く懐疑主義者は、 このような事象に遭遇した場合、ほとんど例外なく、「もしそれが本当な ら、なぜ何百何千の人が報告しなかったのだ」などといって反論するだろ う。
 後者の状況については2つの説明要因があると思う。まず都市の道路上で 上空を見ている人がそんなに多くいるだろうか、ということである。上 空で大きな音でもしない限り、都会の人間の多くはそんなに長時間空を 眺めることはないはずだ。めったに空を見上げないだけでなく、都市部 では上空の視野が制限されているため、UFOを見つける機会が減少するこ とになる。つまり農民、森林監視員、あるいは広々とした田舎の道路を ドライブする人が見ている景色とはかなり状況が異なるのである。
 それに、UFOの研究では常に「目撃」と「報告」を、はっきり区別する必要が ある。目撃者が新聞や警察、大学などの公的機関に届けてはじめて、目 撃は報告となる。これまでの世界のUFO研究ではっきりしているのは、嘲 笑を恐れるといった心理学的な要因により、目撃者の大半は、この種の 非常にまれな現象を報告したがらない、ということである。
 我々はUFO目撃の話を、「異常な物体を見た」と言っている人を知る人 物からきくことがよくある。こういったことから、公の報告経路にのら ない非常に価値のある目撃に出くわすことがある。だが、これは、嘲笑 を恐れて、多くの重要な目撃事件が、その出所で滞っていることを示し ている。

 1966年11月22日のニューヨークシティーでの報告に戻ろう。目撃者から聞いた NICAPの情報と私がLeickから直接聞いた内容を合わせてみると、これは 現実に起きた事件であり、信頼できる目撃者による、既知現象による説 明ができない目撃だと認めざるを得ない。
 物体は滞空していた位置から移動を開始するとすぐに、直線的に急上 昇し、そのあと東に向かった、とLeickは言った。彼と同僚は物体が国連 ビルの上空にあったと推測しているが、距離の見積もりに誤差があるか もしれない。物体の形状と動きから考えて、ヘリコプター、飛行機、気 球などは除外できると思われる。

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