全米UFO論争史 >第3章 1952年のUFO目撃ウェーブ

 UFOの報告が少ない期間が2年近く続いた後,1952年に空軍は再び未確認飛行物体に悩まされた.以前の航空資材コマンド(AMC)情報部は,航空技術情報センター(ATIC)となり,その年,これまでで最も多い1501件の報告を受け取った.それには空軍パイロットやレーダー要員による,レーダー観測および目視事例報告も多数含まれていた.問題に立ち向かう試みの一環として,ATICはプロジェクトグラッジの再編を認可し,空軍は最終的に,その組織をより高い序列に置いた.エドワード・J.ルッペルト大尉の指揮の下,プロジェクトのスタッフはUFO現象を組織的に調査する計画を立て,調査を開始した.技術者,物理学者,天文学者に協力を求め,新しくて効果的な報告手順を導入し,コンピュータを使用したUFOの特徴の研究を委託契約し,UFOの機動パターンの研究計画を立案し,特殊レーダーや写真撮影技術を開発した.この急激な調査活動の盛り上がりにより,この現象に対する報道機関と大衆の関心が復活し,同時に空軍の報道政策が変わる結果となった.1952年という年は空軍のUFO調査の絶頂期であり,1969年まで空軍のUFOに対する態度を支配することになる意識が芽生えた年である.
 1951年9月10日,劇的な目撃が空軍を刺激し,休眠していたプロジェクトを生き返らせ,活気を与えた.T-33のパイロットと,搭乗していた空軍少佐は,ニュージャージー州フォートモンマス上空で未確認飛行物体らしきものを目撃した.その物体は直径30〜35フィート,円形,つやのない銀色,扁平で航空機の下方に滞空していた,と目撃者は描写している.パイロットは迎撃しようと急降下したが,失敗に終わった.物体は少しの間滞空した後,南へ飛行し,120度ターンして海へ向かった.同時刻,空軍通信隊レーダーセンター(フォートモンマス)のレーダー操作員は,訪問していた空軍将校の一団にレーダー装置のデモンストレーションを行っていた.彼は時速400〜700マイルの速度で移動する物体をレーダーで捕捉,追跡した.しかし物体は非常に不規則,高速で飛行するため,レーダー操作員はそれを見失ってしまった.翌日,フォートモンマスのレーダーは同様の機動パターンをとる未確認飛行物体を捕捉した.しかしながら,このときもその物体は消失と出現を何回か繰り返し,非常に高速だったので,レーダー操作員は自動追尾できなかった.

(後略)

1952年7月,二晩に渡り,首都ワシントン上空にUFOが出現,複数のレーダーがUFOを捕捉,迎撃に上がった戦闘機がUFOに翻弄されるという事件が発生した.上の図は19〜20日のレーダー観測状況.ワシントンナショナル空港レーダー管制官のスケッチを元に作成.23:40,マウントバーノン南西7マイル付近に目標群が出現.低速で移動.20日0:00に輝点群のうち2個はホワイトハウス上空,1個は連邦議会上空に移動(BLGの北の3点).5:30にアンドリュース基地付近に10個の目標を捕捉.ベルツビル北方に直角ターンが描かれている.図中の略称は以下の通り.WNA…ワシントンナショナル空港,ADW…アンドリュース空軍基地,BLG…ボーリング空軍基地.円はレーダーの表示範囲.

ワシントンUFO事件でスクランブル発進したニューカースルAFBのF-94B戦闘機.滑走路の修復工事のためアンドリュースAFBから臨時に移転してきた第121迎撃戦闘飛行隊所属の機体.20日の迎撃では現場にF-94が到着するとUFOは消失,捜索したがUFOは見つからず,帰投すると再度UFOが出現した.26日の迎撃ではF-94戦闘機がUFOに取り囲まれ,パイロットは怯えて管制室に助言を求めたが,管制室はアドバイスのしようがなく,沈黙が続いた.しばらくしてUFOは包囲を解いて飛び去った.


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原書表紙
   序文
   謝辞
   用語について

   第1章 謎の飛行船 ─― 論争の序曲
   第2章 現代のUFO目撃始まる
   第3章 1952年のUFO目撃ウェーブ
   第4章 ロバートソン査問会
   第5章 コンタクティとUFOマニア
   第6章 1954〜1958年 ―─ NICAPの台頭
   第7章 議会公聴会開催を巡る争い
   第8章 1965年 ─― 論争の転機
   第9章 コンドン委員会とその余波
   第10章 1973年 ── 過去からのこだま

   空軍が受けた年間UFO報告数の変化
   日本語版あとがき
     ・閲覧可能となった米政府文書
     ・目撃報告の減少
     ・ロズウェル事件
     ・ネオコンタクティ
     ・UFO研究界
     ・陰謀論
     ・アブダクション
     ・次の段階
   註
   情報源について
   主要参考文献
   著者経歴
   索引


   本書で取り上げた書籍一覧


 



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