ヨーロッパのUFO >第11章 UFOの起源
>11. 10 タイムトラベル説

(前略)

 タイムトラベルは特に相対性理論と量子力学が関係する問題なので,その実現可能性について,UFO問題とは関係なく非常に多くの研究が行われている(H. Moravec 1993).だがそのアイデアは,現実性がない仮定を必要としたり,実現できそうにない物理過程を必要とすることが明らかになっている(Gribbin 1979).
 たとえばゲーデルは,宇宙が十分な速度で回転していれば,時空にねじれが生じ,出発する以前の目的地に到達することが可能なことを示唆している.しかし,宇宙が回転している証拠はまったくない.カーとニューマンも,かなりの高速回転が生じた場合,出発した宇宙船を出発前の時間に戻せることを示した.だが,タイムトラベルが,これほどまでに扱いにくいメカニズムに基づいて行われる可能性は低いであろう.
 シュミットは注目すべき実験を報告している(Schmidt 1987, 1993).サイキック能力者がコイン投げの確率に影響を及ぼしうることはよく知られている.シュミットの実験では,コイン投げをコンピュータでシミュレートした.その結果を記憶媒体に保存し,さらにそれをプリントアウトして,誰も見ずにすぐに封筒に入れて封印した.
 数カ月後,被験者が,過去にさかのぼって結果に影響を与えるよう意識を集中した.その後,封印されていた封筒を開けて,保存されたデータがチェックされた.その結果,ランダムなはずのデータが被験者が意図した方向に偏っていたことがわかった.シュミットはこの結果を,過去を修正したのではなく,将来起きる出来事を先取りしたものと説明している.
 だが,この実験は,未来にまったく影響がないのであれば,過去を変えられることを示すものと解釈できるであろう.このとき,過去が変わったことで,情報が変化することも許されない.
 タイムトラベル説を支持する証拠がいくつかある.
 UFOと遭遇したチリのアルマンド・バルデス伍長は20分間行方不明になっていたが,5日分ほど髭が伸びていた(Bender 1977, Huneeus 1987).これは,彼の時間が一時的に地球の時間よりも速く進んだことを示している.つまり彼が未来に行ったことを意味する.彼が現在に戻るときには,逆方向に同じ時間経過しなければならない.その間経過した時間が5日間ほどだったことになる.原理的には彼が現在に戻る途中で,未来に向かう自分を見ることができるはずである.また,その逆も考えられる.
 UFO搭乗者の体格が人間に近く,地球の言語を話す(Brown 1965, Benitez 1978, Heiden 1982, Keel 1970, Lorenzen 1967 pp.109 and 123, Vallee 1990),眼鏡をかけている(Randle 1989),地球の野菜を食べている(Vallee 1969),彼ら自身が未来の地球からやってきたと証言している(Keel 1970 p.199-200, Fowler 1990)ことも,タイムトラベル説を支持する.彼らが,今は何年か,と質問したこともある(Lorenzen 1967 p.126, Keel 1970 pp.126 and 184, Keel 1975).だが,UFO搭乗者の話は信用できないことがわかっており,注意が必要である.
 また,人間とは異なるUFO搭乗者と行動を共にする,まったく普通の人間を目撃する傾向が強くなっているようである(たとえば Hopkins 1996 p.112).

(後略)


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    謝辞
    推薦の言葉  発見科学総合研究所
    発見科学総合研究所について
    序文  ジョン・F.シェスラー
         ブルー・マカビー
         リチャード・ヘインズ


 第1章 過去のUFO事例
   1. 1 フランス,ドイツ,英国の歴史的事例(16〜18世紀)
   1. 2 フーファイターとミラクル兵器
   1. 3 ヨーロッパ上空のゴーストロケット
   1. 4 ヨーロッパで発生した有名なUFO事例

 第2章 様々なUFOの形状
   2. 1 フランクフルト近郊のメッセルで目撃されたドーム付円盤
   2. 2 ローゼンハイム市近郊ホッホリース上空の卵形物体
   2. 3 イェムグム上空の葉巻形物体
   2. 4 インゴルシュタット上空の星形物体
   2. 5 プラウエン事例

 第3章 三角形のUFO

 第4章 同一形状のUFO

 第5章 UFO着陸・搭乗者目撃事例
   5. 1 コンタクトなしの搭乗者目撃
   5. 2 ランゲンアルゲン・コンスタンス湖事例
    5. 2. 1 コンスタンス湖上空の輝く物体
    5. 2. 2 バルデック・カフェ上空の物体
    5. 2. 3 異様な生物の出現
    5. 2. 4 他の目撃者
    5. 2. 5 事件後の影響
    5. 2. 6 物理的な調査
    5. 2. 7 心理学的調査
    5. 2. 8 退行催眠セッション
    5. 2. 9 精神科医の評価
    5. 2. 10 メンインブラックの出現

 第6章 UFOが残した金属片
   着陸現場の特定
   金属製の物体
   角の摩滅の跡

 第7章 UFOの証拠となる写真
   7. 1 グライフスバルトの光体
   7. 2 ギゼッペ・ルシフォーラが撮影したUFO
   7. 3 有名なナゴラの写真

 第8章 レーダーが捕捉したUFO
   8. 1 現在の防空システムにおける識別不能物体の扱い
   8. 2 レーダー画像分析の失敗
   8. 3 中欧の航空管制で使用される合成ディスプレイ
   8. 4 識別不能レーダー航跡の特徴
   8. 5 無秩序な飛行経路
   8. 6 知性的な挙動を示す航跡
   8. 7 軍のレーダー監視主任が三角形UFOを目撃

 第9章 高感度磁場検出器

 第10章 UFOが周囲に及ぼす影響
   10. 1 データカタログと統計分析
   10. 2 デンマークで同じ車が2度遭遇した電磁障害
   10. 3 フランス,トランス・アン・プロバンスにおけるUFO着陸後の物理的影響


原書表紙
 第11章 UFOの起源
   11. 1 概論
   11. 2 地球外仮説
   11. 3 心理学的現象,超常現象説
   11. 4 精神投影説
   11. 5 構造の歪み理論(TST)
   11. 6 地光仮説
   11. 7 平行宇宙説
   11. 8 異次元仮説
   11. 9 プロジェクター理論
   11. 10 タイムトラベル説
   まとめ

    附録A オルセンの信頼度指数
    附録B MUFON-CESの目標と活動
       1)画像分析班 2)レーダー分析班
       3)現地調査班 4)心理学研究班
       5)理論研究班 6)データ処理班

    訳者あとがき
    参考文献
    索引
    略歴


 



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「ブルーブックケースファイル」 「米下院UFOシンポジウム」 「コンドン報告第3巻」
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