米下院UFOシンポジウムマクドナルド博士(公聴会用論文)
なぜパイロットはUFOを目撃しないのですか?
>4.ケース4. ミネソタ州ミネアポリス,1951年10月11日

4.ケース4. ミネソタ州ミネアポリス,1951年10月11日

 自家用機のパイロットの数は航空会社所属のパイロットの数よりはるかに多いため,前者の方がUFOを目撃することが多い.エンジニアであり,元米陸軍P−38戦闘機のパイロットでもあるジョセフ・J.カリシュスキは,1951年10月,ジェネラルミルズ社のスカイフック気球プログラムで気球を追跡中,二日間連続で今までに見たこともないような物体を目撃した5,7,10).
 両日ともジェネラルミルズ社がブルーブックに報告した.公式機関の報告によれば7),目撃者は“非常に信頼できる”人物で,“何度も高高度で気球を観測している”という.
 10月10日午前10時10分ごろ,カリシュスキとジャック・ドナーグが目標の気球の方に向かって軽飛行機で高度6,000フィートを飛行していたところ,カリシュスキが東から西へと空を横切っていく奇妙な物体を見つけた.この物体は20,000フィート近くを流れていた気球の後方はるか上空を飛行していた.
 カリシュスキにインタビューしたところ,この物体は「奇妙な輝きを放っていて,気球の後方上空を東から西へ超高速で通過しました.最初少し高度が下がり,1分ほど水平に飛行して減速したかと思うと左に急旋回しました.そして急加速して南東に向かい,50〜60度の角度で上昇していきました」と語った.
 2人が物体を見ていたのは2分間ほどで,この間物体は約45度のところを通過した.飛行機雲はまったく見えず,この物体は気球でもなければ航空機でもないとカリシュスキは断言した.
 翌日の朝6時半頃,別の気球のミッションでカリシュスキとリチャード・レイリーが飛行中,ミネアポリス北の上空で奇妙な物体に気づいた.公式機関に提出された目撃証言から引用する(参考文献7,報告書2参照).

「物体は非常に高速で高高度を東から西へと移動していた.我々は機の飛行コースを一定に固定し,風防の枠を目印にした.物体はこの枠に対し1秒で50度進んだ.底面は暗く,周りにはハローが見られた.高速で通過したかと思うと減速し,ゆっくりと円を描きながら上昇を始めた.その物体の軌跡はまるでオークの葉をさかさまにしたような形だった.2分ほどこのように旋回した後,急加速して東へと消えて行った.私とディックがその物体を見ていたのは5分ほどだった」

 このあとまもなく,また別の謎の物体が西から東へと空を通過した.この時にはカリシュスキはミネソタ大学の空港のセオドライト(経緯儀)観測員と無線で連絡がとれるようになっていた.二人の観測員(ダグラス・スミスとリチャード・ドリアン)はセオドライトで高速移動する葉巻型の物体を捉えたが,高速で角度を変えて移動するため,捕捉し続けられなかった.
 カリシュスキと話してみて,非常に観察能力が高いという印象を受けた.空軍の調査員の聴取を含む独立した三つの情報源からもそのことは伺える.

考察


「米下院UFOシンポジウム」収録のマクドナルド博士の論文



  ◆ 未確認飛行物体に関する公聴会用論文
    
    目的と背景
    UFOの問題の従来にない特質
    いくつかの代替仮説
    インタビューおよび扱ったUFO事例の種類
        1.とりあげた事例の情報源
        2.目撃証言の特徴
        3.目撃者の信頼性
        4.目撃者の観察の信憑性
        5.目撃者が前もってUFOの知識があった場合に生じる問題
        6.現在関心が持たれているUFO報告の種類    
          a.夜間の発光体(NICAPのスタッフが“DL(夜間怪光)”
            と呼んでいるもの).

          b.翼のない円盤および葉巻型物体の至近距離での目撃.
          c.夜間近距離で目撃される静止滞空する発光物体.
            規則的あるいは不規則に点滅する場合がある.

          d.レーダーで捕捉された物体.
            地上あるいは飛行中の航空機から同時に目撃される.

        7.よくある疑問    
        8.有用なUFOの資料
    なぜパイロットはUFOを目撃しないのですか?
        1.ケース1.アイダホ州ボイシ,1947年7月4日 考察
        2.ケース2.アラバマ州モントゴメリー,1948年7月24日 考察
        3.ケース3.アイオワ州スーシティ,1951年1月20日 考察
        4.ケース4.ミネソタ州ミネアポリス,1951年10月11日 考察
        5.ケース5.ペンシルバニア州ウィロー・グローブ,1966年5月21日 考察
        6.ケース6.ケベック州東部,1954年6月29日 考察
        7.ケース7.インディアナ州ゴーシェン,1950年4月21日 考察
        8.ケース8.バージニア州ニューポートニューズ,1952年7月14日 考察
    UFOの目撃者がいつも一人なのはなぜですか? 
    どうして多数の目撃者が存在しないのですか?

        1.ケース9.ニューメキシコ州ファーミントン,1950年3月17日 考察
        2.ケース10.ワシントン州ロングビュー,1949年7月3日 考察
        3.ケース11.ユタ州ソルトレイクシティ,1961年10月3日 考察
        4.ケース12.ワシントン州モーゼス湖ローソンAFB,1953年1月8日
          考察
        5.ケース13.サバンナ川AEC(原子力委員会)施設,1952年夏 考察
        6.ケース14.コロラド州トリニダード,1966年3月23日 考察
        7.ケース15.カリフォルニア州レッドランズ,1968年2月4日 考察
    UFOが都市部ではなく,辺鄙な場所での目撃ばかりなのはなぜですか?
        1.ケース16.ニューヨークシティ,1966年11月22日 考察
        2.ケース17.カリフォルニア州ハリウッド,1960年2月5,6日 考察
        3.ケース18,テキサス州ベイタウン,1966年7月18日 考察
        4.ケース19.オレゴン州ポートランド,1947年7月4日 考察
    なぜ天文学者がUFOを目撃しないのですか?    
        1.ケース20.ラスクルーセス,1949年8月20日 考察
        2.ケース21.ニューメキシコ州フォート・サムナー,1947年7月10日 考察
        3.ケース22.メイン州ハーバーサイド,1947年7月8日 考察
        4.ケース23.ラトビア,オグラ,1965年7月26日 考察
        5.ケース24.コーカサス,キスロヴォーツク,1967年8月8日 考察
        6.ケース25.アリゾナ州フラッグスタッフ,1950年5月20日 考察
    気象学者や気象観測員は,空を見る機会が多いのに,
    なぜ彼らはUFOを目撃しないのですか?

        1.ケース26.バージニア州リッチモンド 1947年4月 考察
        2.ケース27.アリゾナ州ユマ,1953年2月4日 考察
        3.ケース28 南アフリカ,ケープ州アピントン 1954年12月7日 考察
        4.ケース29.ニューメキシコ州アレイ,1949年4月24日 考察
        5.ケース30.南極,アドミラルティ湾,1961年3月16日 考察
    気象観測用気球や調査用気球で
    たいていのUFOは説明できるのではないでしょうか?

        1.ケース31.ニュージャージー州フォートモンマス,1951年9月10日
          考察
        2.ケース32.ワシントン州オデッサ,1952年12月10日 考察
        3.ケース33.ワシントン州ロザリア,1953年2月6日 考察
        4.ケース34.マサチューセッツ州ボストン,1954年6月1日 考察
    なぜ,UFOはレーダーに捕捉されないのですか?
        1.ケース35.日本,福岡,1948年10月15日 考察
        2.ケース36.オーストラリア,ナウラ,1954年9月 考察
        3.ケース37.南アフリカ,ケープタウン,1953年5月23日 考察
        4.ケース38.ワシントンD.C.,1952年7月19日 考察
        5.ケース39.ミシガン州ポートヒューロン,1952年7月29日 考察
    UFOが本当に存在するのなら,
    なぜUFOの写真がたくさん撮影されていないのですか?

        1.一般的な考慮事項
        2.ケース40.カリフォルニア州コーニング,1967年7月4日 考察
        3.ケース41.エドワーズ空軍基地,1957年5月3日 考察
    もしUFOが実在するならば,
    何らかの物理的影響を残すはずではないですか?

    UFO現象に危険性や敵性を示す証拠はありますか?
        1.車を停止させたケース
        2.軽度の被爆
        3.深刻な外傷
        4.あからさまな敵意を示すまれな例
        5.UFOと上記以外の電磁波による障害
    UFO分析における大気物理学の誤用
        1.概説
        2.気象光学による説明
          蜃気楼幻日映日雲の反射/逆転
        3.大気電気
        4.レーダーの伝播異常
    まとめと提案
    参考文献


「米下院UFOシンポジウム」収録論文執筆者


ハイネックマクドナルドカール・セーガンホールハーダー
ベイカーウォーカーメンゼルスプリンクル
ヘンダーソンフリードマンシェパードソールズベリー


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